ブログ45【書き下ろし】  シリーズ「乗ったで降りたで静岡清水線」 長沼駅 その2 (2026年10月記)

書き下ろし
タイトルカット 拙宅近くを走る国道1号線静清バイパス。静岡と清水、そして東名間、東阪間をつなぐ人流・物流の大動脈です

静鉄静岡清水線の全駅ルポ、長沼駅2回目です。前回は駅北側の長沼車庫(車両基地)とバンダイホビーセンターをウォッチング。今回は駅南側に回りましょう。

朝ラッシュの運用を終えて長沼車庫に入線する静鉄電車。新静岡発平日ダイヤでは9時台に3本の柚木行きがあります。柚木止まりの列車は長沼まで回送運転、車両基地に入ります

JR東静岡駅は〝隣組〟

直線距離で500m弱ありますが、長沼駅南側に位置するのがJR東海道線東静岡駅。静岡の東側隣駅で、所在地は長沼駅と同じ静岡市葵区長沼です。

飛躍の可能性を秘めたJR東静岡駅。写真は南口で、新アリーナが整備されるのは反対側の北口です

地番をみれば静鉄長沼駅が長沼1丁目、JR東静岡駅は番地だけです。静岡市は歴史あるまちのならいとして丁目のないエリアもあり、拙宅も番地だけで丁目はありません。

JR東静岡駅の開業は、21世紀目前の1998年。1908年開業の長沼駅のジャスト90年後に東静岡駅が誕生しました。

ちなみに東海道線静岡駅の開業は1889年2月。東静岡開業まで隣駅だった草薙くさなぎは大正末期の1926年です。

静岡~草薙は6.0㎞。なぜこの区間に70年以上も駅がなかったのか? ヒントは東海道線の性格にありそうです。

東海道線は東京~名古屋~大阪をつなぐ日本一の幹線で、最大の目的は3大都市間の人流や物流ルート。国鉄にとって静岡ローカル輸送は、東海道線の第一義ではなかったのです。

「国鉄は静岡を無視していた」はさすがに書き過ぎですが、民間企業のJR東海は静岡のことを考えるようになりました。前週のブログ41で触れた国鉄改革の功罪で〝功〟の部分、それは東静岡駅の開業にも反映されているように思えます。

船をイメージした多目的ホール   

今回もToo Longな長すぎる前説で申しわけありません。

JR東静岡駅南側の「グランシップ」へ。正式名称は「静岡県コンベンションアーツセンター」で、静岡県営(正確には第三セクター)の多目的ホールです。静岡県文化財団が運営します。

確かに巨大船に見えます「グランシップ」。館内1階にカフェレストラン「GALLEY(ギャレイ)」があって、ゆったりランチが楽しめます 

つくばセンタービルやロサンゼルス現代美術館(MOCA)などで知られる、建築家の故磯崎新あらたさんが設計。東静岡駅開業の約1年後、1999年に完成しました。

船をイメージした外観で、「GRANSHIP(=巨大な船)」の愛称もそこから。地上12階、地下2階建て、延べ床面積約6万㎡。

直近のイベントを探せば、「青春SPARK祭」(地元テレビ局が主催する高校生の文化祭)、「人形浄瑠璃・文楽」などがヒットします。実際は企業の展示商談会や就活セミナーが中心のようです。

静岡で公演した海外アーチストは……、私の探し方が悪いのか残念ながら見付からず。まぁ、静岡は東京まで新幹線で1時間。推しのバンドやタレントは東京で、ということなんでしょうね。

ここから無理くりつなげて、静岡(県)開催の秋フェスをご案内。海外コアなミュージシャンも出演する音楽イベント「Festival de FRUEフェスティバル・デ・フルー 2026」が10月31、11月1の両日、静岡県掛川市のつま恋リゾート彩の郷で開催されます。

FRUEは意外にも日本語の「振るう」から。キャッチフレーズは「世界各地の多彩な音楽を楽しめる野外音楽フェス」で、今年10周年を迎えます。

出演はザ・マスター・ミュージシャンズ・オブ・ジャジューカ、アシッド・バウリ、サム・ゲンデル、坂本慎太郎ほか多数。

元ゆらゆら帝国(バンド名です)の坂本さん以外、知名度高くありませんが、主な音源はYouTubeにアップされてますので、興味ある方はぜひ。ネットに関連情報満載です。

長沼、東静岡の両駅を結ぶペデストリアンデッキ 

長沼、東静岡の駅間は一本道ではありませんが、一応つながっています。道中に(ちょっと外れますが)ブログ39で取り上げたマークイズ静岡があります。

東静岡駅付近では大型再開発計画があります。静岡市は今年7月、「東静岡地区まちづくり基本構想」を発表しました。

構想による地域の将来像は、「『文化・スポーツによる感動体験』と『快適で安心できる暮らし』が両立したまち」。

①文化・スポーツ拠点、②若者や子どもが夢や希望を持てる、③誰もが移動しやすく住みやすい、④多様な都市機能が集積し、居心地良く歩きたくなる、⑤豊かな緑を身近に感じ、美しい景観に浸れる――といった指針が掲げられます。

具体的には「新アリーナの建設」、「商業施設やホテル誘致」、「新しい静岡県立中央図書館の整備」などが構想されます。

約1万人収容の新アリーナ開業は2030年目標。しかし、本ブログが指摘するまでもなく昨今の建設業界、資材高騰と人材不足のダブルパンチに苦戦します。

東静岡地区のまちづくりで、静鉄に関係するのは「東静岡駅周辺ペデストリアンデッキ(高架歩道)整備計画」です。

新アリーナは東静岡駅北側で、その先に長沼駅があります。ペデストリアンデッキは東静岡、長沼の両駅間を結ぶ約500mの歩行者専用道で途中、国道1号線をまたぎます。

市はデッキ整備の目的を、「歩行者と自動車の動線を分離して、アリーナ来場者や住民の安全・快適な通行と交通利便性を向上させる」と説明します。現在は概略設計の段階。市は今年5月、竹中工務店などと契約しています。

ここで小休止をいただき、最近気になったニュース。総務省が9月末に発表した2025年国勢調査の確定値で、静岡市の人口は昨年10月1日時点で65万8781人でした。

5年前の前回調査からおよそ3万5000人減で、人口減少率は4.99%。全国20都市の政令指定都市中最下位(最大)で、市は危機感を示します。

静岡市の人口減と東静岡の新アリーナは直接リンクしませんが、箱モノが地域の活力アップにつながるかは?? 本ブログは政策検証や批評が目的でないのでここまでにしますが、いずれにしても静鉄15駅で一番のポテンシャリティ(潜在的な可能性)を持つ駅、それは長沼駅かもしれません。

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