
古庄駅後編です。今回はエキチカの「静岡県立静岡農業高校(静岡農高)」と、静岡の農業オンリーワンの「お茶」、そして国鉄時代にお茶を運んだ(かもしれない)「JR貨物静岡貨物駅」を〝三題噺〟に仕立てようと思ったのですが……。
その前にワンポイント。前回のブログ49で静鉄が戦時中の1943年、大東急に経営統合されたことをご案内しました。
大東急は戦後の1948年に解体され、静鉄も東急グループを離脱したのですが、東急は現在も静鉄の筆頭株主。静鉄と東急のかつての蜜月時代を物語るように、静鉄電車は先代の1000形が東急車輛製造で製作。現在のA3000形も、東急車輛を引き継いだJR東日本グループの総合車両製作所(J-TREC)生まれです。
たまさかネットをみていたら、「静鉄電車のドアチャイムは東急そっくり」の投稿が。東急と静鉄の電車はどちらもJ-TREC発の兄弟車。チャイムの共通性に気付いた方、なかなか鋭い耳をお持ちのようです。

創立112年の名門校
古庄駅が最寄り駅の静岡農高。開校は大正初期の1913年、当初の校名は安倍郡立安倍農学校でした。

静岡県立安倍農学校を経て、戦前のうちに県立静岡農学校に。戦後の学制改革で1948年、現在の県立静岡農業高校になりました、2024年度に創立110周年を迎えた県下有数の名門校です。
静岡の産業、クルマや製紙工業が思い浮かびますが、実は全国トップクラスの農業県という一面も持ちます。
静岡県の耕地面積(田畑、果樹、牧草地など)はざっと5万6800ha。東京のJR山手線内側面積は約63haで、静岡の耕地は実に約900倍。生産上位5品目はミカン、米、鶏卵、イチゴ、生乳。静岡農高は1世紀超にわたり農業の担い手を送り出してきました。
現在の生徒数約590人で、生産系、環境系、食品系の3分野に分かれます。高校で気になるのが卒業後の進路。就職先で本ブログに登場する企業では、JR東海静岡支社や静鉄ストアの名が見付かります。
もちろん農業高校ですから、多くの生徒が就業するのが農業法人や食品関係。校名からはやや異色に思えるところでは、環境系環境土木系列からゼネコンに入社する生徒もいます。
静岡農高は毎年11月に学校文化祭「静農祭」を開催します。農産物や加工品の販売が人気です。今年は11月14日。詳細は同校ホームページでご確認ください。

静岡茶のレジェンド・聖一国師
静岡市の農業。上位5品目からは外れたものの特産の一つがお茶。私が移住して感じたのは近所に「製茶販売店がたくさんある」でした。さすが静岡!
日本のお茶の始まりは日本史の教科書に登場する遣唐使。平安時代、唐に渡った最澄や空海が持ち帰ったのが最初の日本茶とされます。
鎌倉時代にはこんな書もありました。臨済宗の開祖・栄西禅師が著した「喫茶養生記」です。
タイトルだけだと現代のエッセイのように思える同書、「茶は養生の仙薬なり、延齢の妙術なり」と説きます。初期のお茶、薬効が目的だったよう。だから静岡市民は健康!?
静岡市の茶にも半ば伝説化された歴史上のレジェンドがいます。鎌倉時代中期の高層・聖一国師。宋から持ち帰った茶の実を、足久保で育てたのが静岡茶の始まりと伝わります。
足久保は現在も残る静岡市北部の地名。拙宅前の安倍街道を「足久保団地行き」の静鉄バスが走ります。足久保には段々畑の茶畑があるようで、今度訪問してみましょう。
「静鉄とお茶」では、こんな話題も。静鉄グループで観光売店などを営む静鉄リテイリングが運営するのが「玉露の里」。日本庭園や茶室、レストランなどを備えた観光施設で、藤枝市岡部にあります。
岡部の地名に記憶ある方は、おそらく本ブログの熱心な読者(「ありがとうございます」by中の人)、ブログ34の藤枝鉄道博で取り上げた静鉄駿遠線の戦前の始発駅が「駿河岡部」でした。岡部は東海道の宿場町。鉄道は廃止されましたが、今も静鉄バスの営業所(車庫)があります。
積替ステーション始動で新時代に踏み出した静岡貨物駅
続いて駅南側に向かいます。国道1号線と東海道新幹線、JR東海道線をまたいだ先方にあるのがJR貨物静岡貨物駅です。

駅の始まりは高度成長期の1962年に静岡操車場として。操車場を深掘りすると本ブログ数本分になるので割愛しますが、1970年代初めまで国鉄静岡駅は旅客も貨物も扱っていました。
鉄ちゃんには今さらでしょうが、JRグループには全国6社のJR旅客会社と、全国一本のJR貨物があり、貨物列車は基本的に旅客会社の線路を借りて(線路使用料を支払って)運行されます。
静岡貨物駅からは東京や大阪のほか、東北や中国、九州方面に向かう貨物列車も発車します。
若干専門的になりますが静岡貨物駅、直近の話題が今年4月にスタートした「積替ステーション」です。
これまでの鉄道貨物、荷主企業の工場や倉庫に鉄道コンテナを持ち込んで貨物を積載。コンテナ専用トラックで貨物駅に持ち込んでいました。到着駅からは同様に、着荷主に届ける二次輸送が必要でした。
貨物駅まで、貨物駅からのフィーダー輸送を効率化したのが積替ステーション。対象駅では、積み荷をそのまま貨物駅に持ち込み、駅でコンテナに積み卸しできます。
市中を走る一般トラックから、駅で鉄道コンテナに積み替える。だから積替ステーションというわけです。
時代に合わせて変わる静岡貨物駅。新しい貨物列車では、島田市のネスレ日本島田工場で製造された飲料や菓子類の関西方面への輸送手段が、これまでのトラックから鉄道コンテナにモーダルシフト(トラックから鉄道や内航海運への輸送手段変更)しています。
JR貨物、CO2(二酸化炭素)排出量の少ない環境にやさしい物流を実践します。

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