ブログ17 【アーカイブ】 日本の文化を感じさせる秋祭り 一度は訪れたい富山の「おわら風の盆」(2016年7月期)

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タイトルカット 今年7月の第73回「安倍川花火大会」(会場から2㎞ほど離れた自宅ベランダで撮影)

過去コラムを再構成する【アーカイブ】シリーズ。今回、富山市で開かれる「越中八尾やつおおわら風の盆」を取り上げますが、その前に7月28日に発生した「令和8年熊本地震」で亡くなられた方にあらためて哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げます。

ブログ5では「東日本大震災の教訓」を取り上げました。今回もガソリンスタンドが一部混乱したようです。地方圏にとって、今やガソリンスタンドは完全な都市インフラの一つ。

自然災害は必ず発生します。熊本地震を教訓にした災害に強いまちづくり、進んでほしいと願います。


夏は祭りの季節。最近、各地で夏祭りが盛んになっているのは、社会学的には「地域コミュニティーの再生」の背景があるのですが、難しい話はさておき、地域の歴史や文化を祭りで知るのは楽しいことです。

今回は一度は訪れてみたい、富山市越中八尾の「おわら風の盆」を紹介しましょう。

開催は9月1~3日の3日間。正確には〝秋祭り〟ですね。


哀愁感じさせる三味線と胡弓の音色


「♪揺らぐつり橋、手に手を取りて、渡る井田川オワラ春の風。富山あたりか、あの燈火ともしびは、飛んでゆきたやオワラとり虫」。

風の盆風景。おわらに欠かせないのが、唄と楽器を奏でる「地方(じかた)」。唄は高い声で発し、唄が終わると「合いの手」と呼ばれる楽器だけの演奏に移ります



格子戸や土蔵など歴史を物語る家並みに、哀愁を感じさせる胡弓や三味線の音と朗々とした歌が響き渡ります――。

毎年、3日間延べで30万人近い観光客が訪れる「おわら風の盆」。盆は盆踊りのことです。しかし、やぐらの上で太鼓を叩き、輪になってにぎやかに踊る一般的な盆踊りとは様子がまったく違います。

哀愁に満ちた歌は道ならぬ男女の恋を嘆き、男と女で踊り方も違います。

現在は平成の大合併で富山市の一部になりましたが、2005年までは富山県八尾町という一つの町でした。蛇足ながら、八尾は「やつお」(当社のデスクは「やお」だと思っていたそうです。笑)です。

江戸時代は日本海側から飛騨(今の岐阜県)に抜ける街道の要衝でした。地場産業の養蚕のほか、和紙、薬草、木炭と多くの品々が八尾で取り引きされました。

豪商が勢力をふるい、各地の文化が八尾に集まりました。芸能を大切にする風土で、風の盆は生まれ育ちました。

起源は定かでないものの1702年(元禄15年)、地域の祝い事で三日三晩歌舞音曲が演奏自由の無礼講となり、風の盆の原型を生み出したとされます。



「お笑い」、それとも「豊年満作」?



おわら風の盆の「おわら」は、「お笑い」から出たという説が有力です。

「鹿児島おはら節」など、全国にはおわらを名乗る民謡が数多くあります。ほかに、豊年万作を願う「大藁おおわら」、さらに近隣の小原村が発祥という説もあって、想像するのも楽しいことです。

風の盆の9月初めは台風襲来の多い時期。人々は、踊りに風の神を鎮める願いを託したのでしょう。

明治の終わりから昭和の初め、日本経済は近代化で発展しました。人々に芸能を楽しむ余裕が生まれ、洗練された「民謡」が各地に誕生、レコードに録音されたり歌われるようになりました。

1933年の歌本「日本の民謡」には、「おわらは流行はやる、どこでも流行る。わけても八尾はオワラ、なお流行る」の歌詞が載っています。

現在のようなおわらの形ができたのは、大正半ばごろ。当時の町長・橋爪秀太郎と助役・渡辺常太郎は、おわらで八尾の文芸を振興しようと「おわら節研究会」を設立。新しいおわらづくりに乗り出しました。

八尾のおわらで昭和初期の中興の祖とされるのが地元の医師で、おわら節研究会を改組した「越中八尾民謡おわら節保存会」の初代会長を務めた川崎順二です。

多くの文人を私費で八尾に招き、洗練された芸術性高いおわらをつくり上げるとともに、その魅力を全国に広めました。

風の盆の玄関駅がJR高山線越中八尾駅です。駅では風の盆翌日の9月4日、始発列車で帰る人たちに向けた「見送りおわら」も


北陸新幹線開業で風の盆新時代へ



話は現代に飛びます。1985年、おわらブームが頂点に達しました。きっかけが故高橋治さんの小説「風の盆恋歌」。中年男女の道ならぬ恋を風の盆を背景に描き、最期は死で清算します。

石川さゆりさんの同名曲「風の盆恋歌」も、認知度アップに大きく貢献しました。

そして昨年(2015年)、北陸新幹線が金沢延伸開業。東京からの移動もぐんと便利になって、風の盆の新しい時代が始まりました。最近は海外の観光客も増えているそうです。

最後に、簡単な風の盆のメモ。八尾にはいくつかの町会があり、踊りは町会ごとに行われます。

八尾小学校にはステージが設けられ、座っての鑑賞もできます(有料)。8月20~30日は「前夜祭」(現在は残念ながら中止です)。特定の町で歌や踊りが繰り広げらます。

2026年8月追記 おわら風の盆をめぐっては、伝統行事の承継を目指す運営委員会などによるクラウドファンディング(CF)で目標の500万円を達成。富山の宝、日本の宝を守ろうとする人々に全国からエールが送られました。  

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