
アーカイブ2本目はコロナ禍の2020年夏、鉄道ニュースサイト向けに書いたものの、諸事情で掲載されることなくストックになっていたコラムを初披露します。
今まで表に出したことはまったくないのですが、私が40年以上にわたった収集してきたのがアナログレコードやCD。静岡への移住に当たり初めてちゃんと枚数を数えたら、レコードは600枚超、CDは2500枚超もありました。
静岡の新居は賃貸マンションの一室で、スペースに限りがあるためレコードはすべて売却(余談ながら売却先はテレビCMの総合リサイクル買い取り店でなく、ロックやジャズを中心とした老舗レコードショップ)。世は若い方中心にレコードブームだそうで、30万円という予想外の高額で買い取ってもらいました。
本コラムはおいおいCDレビューも書いてみたいと思いますが、イントロダクションとしてロックと鉄道を絡めた話題……。
(ここからデッドストック原稿の再録です)何でも書く、何でも書ける、それが本物のジャーナリストなのかも。40年を超す鉄道ライター人生で初めての音楽ネタを披露したいと思います。
1971年に嵐の後楽園球場で演奏
2020年8月、あるバンドのベストCD2種類が発売されました。アメリカのハードロックバンドのグランド・ファンク・レイルロード(GFR。後期はグランド・ファンク)。先日はラジオのシニア向け深夜放送で特集していたし、案外キテるのかも。
1968年デビューで、全盛期は1970年代前半。リアルタイムで知るのは私と同じ60歳代以上の音楽ファンでしょう。
71年に来日、嵐の後楽園球場で演奏しました。後楽園球場は東京ドームの前身で、当然屋根なし。観客はずぶ濡れで「怒とうの後楽園球場」として伝説化しています。
本コラムで取り上げたのはバンド名がレイルロードだから。バンドプロフィールには、名前の由来について「グランド・トランク・ウェスタン鉄道(Grand Trunk Western Railroad=GTWR)という実物の鉄道会社のもじり」と書かれています。
本物の鉄道会社に由来
本家(?)のGTWRをネット検索してみました。本社は中西部のミシガン州にあって、同州のほかイリノイ、インディアナ、オハイオの3州に路線があります。「トランク」は日本語化している(といっても最近はほぼ死語ですが)旅行かばんのこと。

GTWRの設立は20世紀になってからですが、路線ネットワークは19世紀後半に形成されていたようです。
ミシガン州などはアメリカ屈指の工業地帯で、GTWRはカナダ大陸横断のグランド・トランク鉄道に連絡して原料や工業製品を運んだようです。沿線は五大湖を除けば内陸部ですからね。GTWRは多分、海上貨物輸送の陸上フィーダー輸送を受け持っていたのでしょう。
話をバンドのGFRに戻して、バンドの初期メンバーはマーク・ファーナー(ギター&ボーカル)、ドン・ブリューワー(ドラム&ボーカル)、メル・サッチャー(ベース)の3人。後にキーボードが加わり、「ハートブレーカー」(オリジナル)、「アメリカン・バンド」(同)、「ロコ・モーション」(リトル・エヴァのカバー)、「孤独の叫び」(アニマルズのカバー)などのヒット曲があります。
結成メンバーの3人はミシガン州出身で、ネットには「GRAND FUNK R.R.」とペイントされた鉄道橋の写真も出ていました。

GFR、ツェッペリン、そしてトレイン
続けてロックと鉄道でもうひとネタ。
デビュー直後のGFRが一緒にツアーしたのがイギリスの有名なロックバンドのレッド・ツェッペリンで、ツェッペリンがメーン、GFRは前座でした。
ところがコンサートではGFRの方がウケて、日本ではGFRは「ツェッペリンを食ったバンド」みたいな宣伝文句で売り込まれていました。
こういう話は多くが演出。現代もフォロワーバンドが多数あるツェッペリンに対し、GFRは今ではほぼ語られる機会もなくなっています。
そんなツェッペリンのフォロワーの一つが、アメリカの3人組「トレイン」。1994年に活動を開始し3回のグラミー賞受賞歴(ノミネート含む)を誇るベテランが、2016年に発表したのが「ツェッペリンへ胸いっぱいの愛を」。1969年に出たツェッペリンのセカンドアルバムを丸々カバーしました。
アルバムはヒットチャート上位とはいかなかったようですが、日本でもそれなりに話題になりました。
トレインの名前の由来は調べてもよく分からなかったのですが、シンプルなバンド名は英語のネイティブスピーカーにもストレートに響くはず。そうそうツェッペリンの名は1929年、日本にも飛来した飛行船に由来しています。
50年前にツェッペリンが期せずして売り出しに一役買ったGFRのバンド名、そして21世紀になってその名盤をカバーしたトレインのバンド名が共に鉄道絡みという点に、私は妙な縁を感じてしまうのです。
2026年6月追記 その後の調べでトレインのパンド名に特に鉄道への思い入れはなく、「語感が良く覚えやすいので採用した」というメンバーの発言が見付かりました。


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