
本ブログ2週目のアーカイブ、テーマは東日本大震災です。2011年3月の発生から5年の2016年3月、私が自動車業界団体の会報向けに書いたコラムを再構成しました。
「固い雑誌なので少しでも面白おかしくまとめてほしい」が編集部からのリクエスト。しかし、内容が内容なので極力真面目に書いています。
あの日から5年経ちました。2011年3月11日。東日本大震災が発生した日です。遅くなりましたが。亡くなられた方々にあらためて哀悼の意を表し、被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げます。
5年は一区切り。テレビや新聞で特集が組まれました。全体では、「震災を風化させない」の切り口が多かったようです。今回は未曽有の大災害が残したものについて考えてみたいと思います。
寒い金曜日の午後でした
震災を風化させないため誰もができることは? それはあの日を思い出すことです。私は午前中、東京港の晴海埠頭で海運会社の新船フェリー「ニューいしかり」を取材し、霞ケ関の国土交通記者会(国土交通省の記者クラブ)に帰ってきたところでグラグラっときました。
国交省の建物は相当頑丈な免震構造なので、棚からモノが落ちることはありませんでしたが、とにかく今まで経験したことのない激しい揺れでした……。
と、すらすら書いていますが、実は覚えていたのはフェリーの取材に行ったことだけ。船名や場所は、当時書いた記事を見てようやく思い出した次第です。
震災発生は金曜日午後。当日は〝帰宅困難者〟が首都圏各地で発生しました。そして週末2日間を挟んだ14日の月曜日から経済活動が始まったのですが、こちらも大混乱。
福島第一原子力発電所の事故で電力供給が不足し、朝の通勤時間帯、首都圏の多くの鉄道がストップしました。停電する地域を日ごとに変える輪番の「計画停電」もありました。
自動車は、被災地の東北を中心に、全国規模で燃料不足が発生。各地のガソリンスタンドに長い給油待ちの行列ができました。

当時の記者クラブでは、頻繁にこんな会話が交わされました。「原発事故が余計だったよね」。本当にそうですね。原発事故さえなければ、復旧・復興はもっと迅速に進んだでしょう。
しかし、事件事故に「たら・れば」は禁句。ゴールはまだまだ先ですが、原発事故を克服しない限り本当の復興はないのです。
震災の教訓をレガシーに
今(筆者注=2016年3月のことです)、「2020年東京五輪をレガシーに」といわれています。
レガシーは「遺産」のこと。オリンピックをきっかけに、日本の新しいイメージを世界に発信して観光客を呼び込んだり、次世代のまちづくりを進めるのがレガシーで、「五輪を一過性のイベントに終わらせず、新しい社会の創造につなげる」の思いが込めらます。
同じことは、震災にも必要ではないでしょうか。高台に集団移転したり、土地をかさ上げするのもレガシーといえばレガシーですが、それはあくまで被災地レベルのこと。もっと広い意味で、震災で得た教訓を新しい社会づくりに生かす取り組みが求められます。
ここでは、具体的な話題として天然ガス自動車を紹介しましょう。
ガススタンドを防災ステーションに
震災後、各地のガソリンスタンドには給油待ちの長い列ができました。日本の自動車燃料がガソリンと軽油に偏っている点が、理由の一つに指摘されました。
ガソリン、軽油に続く第三のエネルギー源が天然ガスです。国や業界団体は国土強じん化の視点から、ガス自動車の普及促進に取り組んでいます。
宅配便業界中心に導入が進むCNG(圧縮天然ガス)車、従来は環境対策の視点で普及が進められてきました。その途上に発生したのが震災。燃料不足で支援物資輸送が滞る場面もあったのですが、エネルギー源を多様化すれば、リスク軽減につながります。
ガスステーションにも注目する必要があります。天然ガススタンドは高圧ガスという危険物を扱うことから、構造が強固で高い耐震性を備えます。震災時、被災地では多くのガソリンスタンドが機器損傷などで長期休業を強いられ燃料不足を増幅しました。
しかし、大きな揺れがあったにもかかわらず仙台市内4カ所のガススタンドは被害も軽微で、震災から2週間足らずの3月23日までにすべて営業(ガス供給)を再開しました。ステーションに非常用電源や地下水のろ過装置を設置し、食料を備蓄して地域の防災ステーション化する構想もあるそうです。

最後に、自動車業界に関連する話題。主に荷物配送用と思いますが、軽自動車のCNG車もあります。インターネットで検索したら、ホームページでも紹介されていました。
2026年7月追記 本コラムはタイトル通り2016年3月記で、震災10年の2021年、15年の2026年にも多くの特集などが組まれました。ここではガスステーションの防災ステーション化を取り上げましたが、大規模災害時のエネルギー供給網確保は初動対応のキモで、ガソリンスタンドに自家発電システムを導入して停電時にも稼働させる災害対応策も進みつつあるようです。


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