ブログ14 【アーカイブ】  余っているものを使いたい人に 言葉は知らなくても社会に浸透します「シェアリングエコノミー」(2016年6月記)

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タイトルカット 三保の松原と富士山(三保の松原は静岡市清水区です)

自動車業界団体の会報に寄稿した過去コラムを再構成してお届けする、【アーカイブ】シリーズ。10年前のちょうど今ごろ、時代のトレンドだったのが「シェアリングエコノミー」です。


この言葉、今もそれほど浸透したわけではありませんが、一台のクルマを会員同士が共同利用する「カーシェアリング」、戸建て住宅やマンションの空室を旅行者などに貸し出す「民泊」と、社会には着実に定着しています。


人口減少で縮小する日本社会や経済にあって、成長を引き出すカギとして期待を集めてきたのですが、一部の訪日外国人と近隣住民がトラブルになって、実質民泊禁止のエリアが認められるなど、曲がり角にも差し掛かっているようです。

(ここから10年前のコラムです)私は昭和29年生まれの61歳(最近の記事やコラムは西暦が一般的ですが、本ブログは〝先祖返り〟の昭和表記でいきましょう)。


子どものころ、こんなことがありました。(近所の人が訪ねてきて)「テレビでお相撲見せて下さい」、「電話を貸していただけますか」。

別に自宅がお金持ちだったわけではありませんよ。父親は昭和34年に50歳で運転免許を取ったくらい新し物好きで、両方とも家にあったのです。


テレビや電話が珍しかったころ、みんなで分け合って使っていたんですね。今回取り上げる「シェアリングエコノミー」は、その現代版です。


モノを持たず使いたい時だけ借りる


シェアリングエコノミーの和訳は「共有型経済」。何のこっちゃ? レンタカーとほぽ同じ意味の「カーシェアリング」、自動車業界の皆さんならご存じでしょう。

モノを所有しないで、使いたい時だけ借りる。自宅やビルの空室に宿泊客を泊める「民泊」、自家用車で料金を受け取って送り迎えする「ライドシェア」も新しいシェアリングエコノミーといえます。


なぜ、シェアリングエコノミーが急に広まったのか。理由はインターネットです。シェア(分け合う)で最も難しのは借り手と貸し手を結び付けることです。


「今度、東京に2週間滞在するのでその間、部屋を借りたい」と思っても、そんなこと誰も分かりません。多分、ホテルに宿泊することになるでしょう。


ところがネットなら、仮に「一部屋空いていますから、ぜひ使ってください」という貸し手がいれば、SNSで割と簡単につながれるのです。

シェアリングエコノミーの旗振り役・一般社団法人シェアリングエコノミー協会は2016年1月に発足、今年、10周年を迎えました。直近では令和8年熊本地震の被災者に無料バッテリーを貸し出す活動などに取り組みます(画像はシェアリングエコノミー協会の面々。同協会のニュースリリースから)


関連業界は〝商売敵〟出現に猛反発

お互い、助けられたり助けたり。いいことづくめ……に思えるシェアリングエコノミーですが、そうは問屋が卸さない。


一部に猛反発が起きています。民泊は旅館業界、ライドシェアはタクシー業界が「絶対反対」。なぜかといえば、こうした業界は長い間にわたり法律で既得権益を守られてきました。


民宿などを除けば、自宅に有料で宿泊客を泊めたりするのはご法度。ライドシェアは、表現は悪いですが〝白タク〟です。旅館、タクシー業界の皆さんは、おそらく「黒船出現」のように戦々恐々とした気分でしょう。


話が後先になりましたが、日本で今、民泊が注目されるのは、観光立国で日本を訪れる外国人客が急速に増えたからです。

本ブログのメーンテーマ・移住がらみでは、シェアリングエコノミーは平日は都会、休日は地方のいわゆる二地域居住の実践策といえます。アメリカに本社を置く民泊業界最大手の日本法人のAirbnb Japan(エアビーアンドピー・ジャパン)は、旅行大手・JTBと共同で北海道上ノ国町などで地域振興に取り組みます(画像はエアビーアンドピー・ジャパンのリリースから)


東京などの大都市ではホテルが取りにくくなり、自宅の空室を貸し出して収入を得たい家主さんと利害関係が一致します。


ライドシェアには地方の人口減少が関係します。運転免許を返納した地方のお年寄りは、外出しようにも足がない。不採算で路線バス撤退も相次いでいます。


こうなると、頼みの綱はライドシェア。「総合特区制度を活用して規制緩和し、条件付きで合法化。観光立国や地方創生を実現する」のが国の基本姿勢なのです。


10人中4人が「利用してみたい」

民泊やライドシェアが、合法か違法かを追及するのが本ブログの目的ではないのでここまでにしますが、そもそも旅館やタクシーが法律で規定されるのは仮に野放しで旅館やタクシーの営業を認めれば、社会の安全・安心がおびやかされる可能性があるからです。


極端な例ですが、「民泊が犯罪の温床に」、「ライドシェアのクルマが交通事故」では困ります。そもそも日本人は自宅にゲストを泊める習慣がありません。


アメリカからお客さまがやって来て、果たして「メイ・アイ・ヘルプユー」と歓迎できるのか。日本のシェアリングエコノミーは、まだ始まったばかりです。


最後に、大手旅行会社・JTBのシンクタンク子会社のJTB総合研究所が実施した「シェアリングエコノミーに関する調査」をご紹介しましょう。


全国約5万8000人へのアンケートでは、旅行時のシェア宿泊(民泊のことです)について、「利用したことがある」、「利用してみたい」と答えたのは2180人、全体の4%弱でした。


割合が低いのは、シェア宿泊を知る人が少ないから。そこでアンケート回答者にシェア宿泊の説明を読んでもらい、もう一回同じ質問をしたところ、「利用してみたい」の割合は37.2%に跳ね上がりました。


シェア宿泊を利用したことのある人に聞いた1泊当たり料金で、最も割合が高かったのは2591~5000円の34.9%。サービス内容にもよりますが、ホテルよりはずいぶん割安のようです。


シェア宿泊利用時の満足度は、「期待以上に満足」が6.7%、「期待通り」が68.5%で、「期待以下」は24.7%の少数でした。


調査を実施したJTB総研は、「シェア宿泊は最近2~3年で急成長しており、今後に注意を払う必要がある。シェア宿泊が新たな旅行需要喚起につながるのかどうかについては意見が分かれ、多くの観光・旅行関係者が関心を持っている」とコメントしています。

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