
温泉県を名乗る大分と群馬。10年ほど前でしょうか、大分vs群馬がちょっとした論争になったことがありました。
本ブログ目線では、群馬は移住先で人気を呼ぶものの、一般的観光では〝地味県〟(ロック好きの皆さま、ジミヘンに似てますね)。
ネットで見付けた「観光に行きたい都道府県ランキング」で群馬は41位。「温泉以外に見るぺきものが少ない」の声が聞こえます。
対する大分は、群馬よりかなり上位の24位。別府、由布院(湯布院)の両温泉郷に加え、久住高原や昭和レトロの豊後高田といった見どころ満載です。
冒頭の余談(つまりヨタ話)が長くなりましたが、もう一つの温泉県が神奈川。神奈川の温泉郷は箱根一拓です。東京・新宿から小田急ロマンスカーで1時間半、「そうだ 温泉 行こう。」(ご存じ、JR東海の京都観光キャンペーンのパクリ)と思い立った日に出掛けられる手軽さが一番のウリです。
(ようやく本文)皆さまは「地域を代表する温泉郷は?」と聞かれたら、何とお答えになるでしょうか。北海道の方は登別、東北は仙台近郊の秋保、九州なら別府か湯布院――。温泉天国の日本は、全国に名湯が点在します。
そして、数ある温泉で人気、実力ともにトップクラスなのが箱根です。今月は神奈川県箱根町の観光まちづくりを見聞しましょう。
訪日年間100万人の目標をクリア
「♪箱根の山は天下の険」という歌詞の唱歌「箱根八里」、どこかで耳にされたことがあるでしょう。
天下の険は往来の難所ということ。今でも箱根新道を走ると、大きな峠だと感じますよね。箱根は江戸時代まで旅人の行く手を遮り、関所が設けられていました。
江戸から東海道を下ってきた旅人は、箱根に差し掛かると「これで関東ともお別れだな」と感慨にふけったはずです。

そんな箱根、温泉のほか自然や歴史・文化などの観光資源が豊富。現在の箱根町は観光振興、とりわけ訪日外国人旅行者の誘致に力を入れます。
集計を始めた2005年の外国人来訪客は48万人でした。今回、箱根町に聞いたところ、最も新しい2015年データ(9年前の話です)で外国人宿泊客は38万人だったそうです。
日帰り外国人のデータはないようですが、宿泊2割、日帰り8割という大体の割合を当てはめれば、訪日客総数は200万人弱といったところ。
町は2011年の観光振興計画「HOT21観光プラン」で、「訪日年間100万人」を目標に掲げていたので、十分にクリアしているはずです。
多いのはアメリカ人と中国人
箱根は東京から大阪への道筋にあります。
「訪日客のゴールデンルート」という言葉、お聞きになられたことはないでしょうか。
東京を観光した外国人が、富士山や京都を見て大阪(関西空港)から帰国する、みんなが通る〝黄金の道〟です。
箱根はゴールデンルート上にあります。国・地域別で宿泊客が多いのは、中国、アメリカ、韓国、台湾。
東名高速や小田急を利用すれば東京から2時間ほどで到着でき、自然や温泉で旅情に浸れる箱根は手軽なリゾートとして、日本人ばかりでなく訪日外国人も引き付けます。
箱根町は外国人誘致に熱心です。日本政府観光局(JNTO)が開催する海外での訪日イベントに参加するのはもちろん、最近は町独自のPRにも取り組んでいます。
観光とともに取り組むのが国際会議やイベント、企業の招待旅行誘致。業界ではMICE(=広義の国際会議を表します)と総称されます。
町が売り込むのは〝アフター部分〟。「首都圏に近くてアクセスは便利、会議の後は温泉に入って富士山を眺めれば親交も一段と深まります」がセールストークですね。
バブルバスに「オーノー!」
箱根町では行政だけでなく、民間による観光振興も盛んです。
「富士山を見て、箱根で温泉に入る」は定番中の定番。東名高速の御殿場インターチェンジ(IC)すぐの御殿場プレミアム・アウトレットで買い物して、箱根で観光と温泉のツアーも設定されます。
現地旅館の話では、初期は温泉の湯船にシャンプーを入れて〝バブルバス〟にしてしまった外国人客もいたそうですが、それはほんの一握り。とかく言われる外国人のマナーも、箱根では問題ないようです。
予約方法は旅行会社経由が5割、インターネットのサイト経由が4割、電話やメールによる直接予約が1割で、最近はオンライン予約が増えています。
箱根で日本の文化発信に貢献しているのがおよそ200人の芸妓たち。ホテルや旅館のお座敷で日本舞踊などを演じるのが本来の芸妓ですが、それでは外国人客に敷居が高くなってしまいます。
そこで空いている昼間、手軽な料金でお座敷遊びを体験してもらうプログラムを用意。その結果、ロシア人のツアー客から定期的にお座敷の声が掛かるようになるなど、成果が表れ始めています。
2026年10月追記 以上は9年前のコラムですが、ラストに鉄ちゃんライクな新着情報。

古豪車両が再来年、本線運行から引退します。箱根登山電車のモハ100形。小田急箱根はモハ104号、106号、108号の3両について、「2028年1月末で運行終了する」と発表しました。
いずれも戦前生まれ。3両とも戦後に車体を新調しましたが、更新から数えても70年前後経過しました。
引退まであと1年余り。古豪に触れるチャンスはまだたっぷりあります。小田急箱根は、「歴史的な車両の引退までの時間を楽しんでほしい」と話します。
※箱根登山電車は長く「箱根登山鉄道」の社名・鉄道名で親しまれましたが、2024年4月の小田急のグループ再編で「小田急箱根(企業名)」に。ファンは鉄道を「箱根登山電車」の愛称名で呼びます。

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