ブログ29 【アーカイブ】 いよいよ待ったなし 観光立国の主役になれるか 旅館の改革!(2016年10月記)

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タイトルカット 今年7月の第73回「安倍川花火大会」(会場から2㎞ほど離れた自宅ベランダで撮影)

本ブログで【アーカイブ】のソースは、自動車業界団体の会報に寄稿したコラムです。

取り上げるテーマは、【書き下ろし】と同じくノージャンル・フリーハンド。社会や経済の動きを追うと、どうしても「観光」の話題が頻繁に登場します。

今回は数ある観光ブログでもあまり見掛けない、「旅館」をピックアップしました。

(ここから本文)突然ですが、皆さまは最近旅館に泊まったことってありますか。ホテルじゃないですよ。部屋は畳敷きで、夜は仲居さんが敷いてくれる布団に寝る、そんな日本旅館です。

今年(2016年)は、10月30日に訪日外国人旅行者が初めて年間2000万人を超え、東京や大阪では「ホテルがなかなか取れない」の声も聞かれます。

旅館も本来は千客万来のはずですが、そうなっていません。今月は旅館の経営改革の方向性を探ってみましょう。 

衰退が止まらない日本旅館

旅館がどんどん減っています。

厚生労働省の集計では、2016年時点の営業軒数は全国ざっと4万軒。ピークだった1980年代の8万3000軒に比べ半減しました。数字で見る限り、旅館は衰退産業のようです。

訪日外国人旅行者は日本旅館をどう見ているのでしょう。

国土交通省の直轄シンクタンク・国土交通政策研究所の調査結果が参考になります。旅館に宿泊した外国人アンケートでは、大半が「満足した」と回答しました。

宿泊先としての旅館の最大の魅力は、日本の伝統文化を感じられる空間と、細やかな気配りによる心温まる「おもてなし」です。もう少し実践的にいえば「五感で味わう和食」、「地域の歴史や文化の体感」などが考えられるでしょう 

ところが旅館へのアンケートでは、「外国人受け入れに余り取り組んでいない」や「取り組みたいが何をしていいのか分からない」が調査した旅館の45%もあり、急成長する観光立国の中での戸惑いがうかがえます。

外国人が「旅館に泊まりたい」と言っているのに、旅館は「ちょっと待って下さい」と門を閉ざしているんですね。

国も重い腰を上げた「旅館業の改革」

そもそも旅館って、誰が経営してるんでしょうか。

「旅館の社長」――その通りです。同じ観光・旅行業でも、旅館がホテルや旅行会社と決定的に違うのは、家業として運営される割合が非常に高いということです。

「実家が旅館だったので当然のように継いだ。実務は番頭さん(そんな人いない? 今は支配人でしょうか)任せ」という社長さん、案外多いんですね。

観光庁も「これはマズい」と思ったようで、国交省全省で乗り出した生産性革命プロジェトの一項目に「宿泊業の改革」を取り上げました。

旅館の仕事、詳細にみてみましょう。宿泊客が朝食を終えて出発する午前と、夕食の夜間に集中します。

必然的に長時間労働になりがちですが、ローテーションの工夫などで働きやすい環境を整備。国は若者の就業者を増やす考えです。

業界団体の日本旅館協会も観光庁の意向を受け、「旅館ホテル生産性向上協議会」を立ち上げて効率化策を検討。来年3月までに最終取りまとめが公表されるスケジュールです(10年前の情報で、観光庁の支援も活用しながら業界一丸になって業務革新に取り組んでいます)。

旅館向けフォーラム「CSって何?」

日本旅館協会のキービジュアル。旅館はサービスの多くを人手に頼る典型的な労働集約型産業で、協会は外国人材の活用などを主導します

変革を求められる旅館業界に向けては、多くのセミナーや勉強会が開かれています。私が取材した中から、「CSって何?」と題したフォーラムを紹介しましょう。

主催は観光シンクタンクのリクルートライフスタイルで、CSとは「顧客満足度カスタマーサティスファクション」のこと。平たく言えば、ちょっと前に流行した「お・も・て・な・し」ですね。

どんな業界も同じでしょうが、旅館も自分たちのサービスを知ってもらうにはPR上手になる必要があります。有効な宣伝告知手段は、ホームページやインターネットの情報交流サイト(ツイッター〈現・エックス〉やフェイスブックのこと)です。

フォーラムで語られたのは、ネット時代に合わせた情報発信の必要性。具体的に重要なのは、①個人を伝える、②細かく伝える、③要望を伝える――の3点です。

個人を伝えるとは、例えば「10階の展望温泉は当館の自慢です。〝私の〟お勧めは夕陽が沈む時間帯です」の「私の」の部分。個人の思いは説得力を増します。 

2番目の細かく伝えるは、食事の紹介などに有効です。「朝食のコーヒーは地元の人気店『○○コーヒー』、パンも地元の老舗『△△屋』から毎日取り寄せています」と書けば、食材へのこだわりを理解してもらえます。

最後の要望を伝えるは、旅館での過ごし方をそれぞれの宿泊客に向けて語りかけることです。

子育て中の母親に「日々のお仕事や子育てに忙しいお母さまに、ぜひとも展望温泉にご入浴いただきたいと思っています。何度でも!」と訴えれば、PR効果も増します。

本ブログをご覧の皆さまも、応用できることがあるかもしれません。CSはすべての〝お客さま商売〟の基本ですから。

2026年9月追記 旅館の業界団体が、ブログ本文にも登場した「一般社団法人日本旅館協会」です。旅館業界は大手中心の日本観光旅館連盟(日観連)と、中小主体の国際観光旅館連盟(国観連)の2団体に分かれ、一部に対立の構図もあったのですが、2012年に大同団結して日本旅館協会が誕生しました。

現在の会長は、旅館業界の名士で大分県由布院(湯布院)温泉・玉の湯の桑野和泉社長。今年6月の通常総会で協会会長に再選され、「引き続き、業界の革新に努めたい」と決意を語りました。

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