ブログ23 【アーカイブ】 全国で路面電車見直しの動き 宇都宮では新線建設にゴーサイン(2016年9月期)

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タイトルカット 今年7月の第73回「安倍川花火大会」(会場から2㎞ほど離れた自宅ベランダで撮影)

当地、静岡で鉄道をめぐる最近の話題といえば、やはりリニア中央新幹線でしょうか。鈴木康友知事は2026年7月、沿線都県で唯一工事が始まっていない静岡工区について、着工を認める方針を示しました。

鉄道の性格は千差万別。リニアや新幹線のように都市間の高速移動を担う路線があれば、都市圏の生活路線もあります。その中で、都市圏内の新しい移動手段として改めて注目を集めるようになったのが「路面電車」です。

(以下10年前のコラムです) 皆さまは路面電車にどんな印象をお持ちでしょうか。私が子どものころ、1960年代前半は生まれ育った東京も、まだ都電の全盛期でした。

60年代後半からは、自動車の普及で電車は邪魔者扱いされるようになって一気に衰退。現在、全国に残るのは都電唯一の荒川線のほか、札幌市電など限られた路線です。

そんな路面電車に、最近見直しの動きが起きているんです。

かしの森公園前~芳賀町工業団地管理センターを行く宇都宮ライトレールのHU300形。本プログ紹介のLRV、超低床車両で下部までガラス張りのドアからは地上が目の前に迫ります(2026年1月撮影)

路面電車から「LRT」へ

最初に紹介したいのが、「LRT」という新しい呼び名。読み方は「エル・アール・ティー」で、「ライト・レール・トランジット」の頭文字です。日本語では「次世代型路面電車」と訳されたりします。

こう書くと、「どこが次世代なの」と突っ込まれそうです。

一つは路線。LRTは郊外と街中まちなかを直通します。鉄道で街中に出掛ける場合、普通は駅から最終目的地まで歩くか、遠い時はバスに乗り換えねばなりません。

ところがLRTは、郊外を走る鉄道が街中にそのまま路面電車として乗り入れるので、乗り換えが不要です。

代表例が広島県の広島電鉄(広電)。広電は日本三景の一つで世界遺産・厳島神社への玄関駅の広電宮島口を発車した電車が、そのまま広島市中心部に乗り入れます。

広電は2025年8月、JR広島駅ビル2階への乗り入れがスタート。視覚的にも大きなインパクトを与えました(2026年3月撮影)

もう一つのLRTの特徴が車両。低床で停留所から乗りやすく、見た目も流線型というか、卵型というか……。LRTの車両は「LRV(ライト・レール・ビークル)」って呼ばれます。

乗り換え不要で、高齢者も利用しやすい――それが、路面電車再評価の理由です。

全国第一号は「富山ライトレール」 

広電を別にすれば、全国初めてのLRTは2006年に開業した「富山ライトレール」です。

元々、JR富山駅と日本海に面した岩瀬浜を結ぶ富山港線というJR西日本のローカル線が走っていたのですが、北陸新幹線の建設で存続が難しくなり、JR西日本が富山市にLRT化を持ち掛けたというのが誕生の経緯です。

元来が鉄道だったわけですから、道路上を走るのは富山駅付近のごく一部。富山駅北~岩瀬浜7.6㎞のほとんどは専用の線路を走るので、道路交通のじゃまになりません。

ライトレールが開業して、沿線のお年寄りが積極的に外出するようになったり、全体では人口減少の富山市も、沿線だけは住民が増えるといった変化が発生しています。

富山市に続く動きは全国各地にあり、例えば東京では、豊島区の市民団体がJR池袋駅と、1㎞ちょっと離れた超高層ビルのサンシャイン60を結ぶLRTをつくろうと活動しています。

しかし、鉄道(地下鉄)やモノレールに比べれば安価とはいいながら、LRT建設には、何百億円もの財源が必要です。

仮にLRTを建設しても、便利になるのは沿線住民だけ。〝総論賛成、各論反対〟は社会の常で、欧米で広く普及するLRTが日本でなかなか広がらないのには、それなりの理由があるのです。

構想20年!? いよいよ宇都宮でLRTが実現

最近、LRTで話題を集めるのが栃木県宇都宮市です。

宇都宮ライトレールの車両基地。愛称名のライトラインは雷の多い雷都(らいと)に由来します。スポンサー企業のラッピング車両も複数あります(2026年1月撮影)

宇都宮のLRTは「賛成」と「反対」で市民の意見が二分。掛け声先行でなかなか計画が進まなかったのですが、市側が建設を決断しました。

2016年9月には国土交通省の第三者機関・運輸審議会が宇都宮市と、隣接する芳賀町、それに第三セクターの宇都宮ライトレールが同省に共同申請していた宇都宮駅東側LRT事業計画について、「認定するのが適当」と答申。実現に向け大きな一歩を踏み出しました。

宇都宮市東部には清原工業団地という就業人口1万人以上の大きな工場地帯があり、通勤時の道路渋滞が慢性化しています。当初は県が新交通システムを整備するプランだったのですが、実現しないまま20年以上が経過、代わって市がLRTを建設する構想が浮上しました。

計画によると、路線は宇都宮駅東口~芳賀町高根沢(近くにはホンダの研究所があります)間14.6㎞で、停留所は19カ所。完成は2019年度の予定です。

整備費(建設費)458億円で、国と地元が折半します。富山は既設のレールがありましたが、宇都宮にはありません。本当にLRTがつくられ、利用されるのか。全国の自治体が宇都宮に注目しています。

最後にLRTをテーマとしたイベントをご紹介。「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会in福井」が2016年11月に福井市で開かれます(情報は10年前の執筆時点で、大会は実際に開かれました)

市民に身近な移動や交通を考えてもらう目的で、誰でも気軽に参加できます。お近くの方、興味をお持ちの方は、ぜひ主催者の「交通まちづくりの広場」のホームページをチェックお願いいたします。

2026年8月追記 以上は執筆時点の10年前の情報で、宇都宮ライトレール(愛称名・ライトライン)宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地14.6㎞は、予定より遅れたものの2023年8月26日に開業しました。

静岡では、静岡市と浜松市にLRT整備の動きがありました。機会があれば、本ブログで紹介させていただきましょう。

(私は2026年1月に宇都宮ライトレール、3月に広電を取材しました。本ブログにはその際に撮影した写真を使用しています)

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