
1971年から参議院議員を1期務めた落語家の故立川談志さん、当時、話のマクラでこう振っていました。「国の仕事が忙しくて……」。
談志師匠をパクって、私もこう言いたい。「昔は国のお仕事をやっておりまして……」。
残念ながら、国際会議などに出席したわけじゃありません。記者として取材しただけです。
今回の【アーカイブ】、2016年に9月に長野県軽井沢町で開かれた「G7長野県軽井沢交通大臣会合」を振り返ります。
(ここから10年前にタイムスリップ)先月号の締め切りにはぎりぎり間に合わなかったのですが、9月23~25日に長野県軽井沢町で「G7長野県軽井沢交通大臣会合」が開かれました。
日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカのG7と欧州連合(EU)の交通大臣が同じテーブルを囲み、「自動運転」と「インフラ老朽化対策」を話し合い、「大臣宣言」が採択されました。
会合の様子や、会場で感じたことを披露したいと思います。
伊勢志摩サミットをフォロー
今年(2016年)5月に三重県でG7主要国首脳会議・伊勢志摩サミットが開かれたのはご存知でしょう。アメリカのバラク・オバマ大統領が、広島を訪れたことでも話題を集めました。

交通大臣会合はサミットをフォローする分野別会合の一つで、既に外相など9分野で開催済み。交通相はラストの10分野目です。
そもそも、なぜ日本で交通相会合を開くのでしょう? 答えは「国際社会で日本の存在感を高めたい」の一点に集約できます。
交通事故防止や道路渋滞緩和につながる自動運転は一日も早い実用化が待望され、戦後に整備(建設)された道路や鉄道、空港、港湾の交通インフラの維持更新は各国共通の課題です。
こうした分野で日本が主導権を握れば、「日本もなかなかやるな」と思ってもらえるかも。
〝かも〟は付くのですが、どこかで国際間の議論集約が必要で、今回はその取りまとめ役を日本が担ったということです。
自動運転は競争と協調で
会合は国土交通省が主催し、自動運転とインフラの2分野で大臣会合を開催。自動運転では、トヨタ自動車や本田技研工業のトップも交えた官民セッションも開かれました。
合間にはトヨタとホンダの試作車で自動運転の試乗会もありました。
自動運転がテーマとされたのは、激しい開発競争があるからです。「これぞ自動運転」という技術を確立できれば、世界で大きな市場を獲得できます。
でも過当競争には同じ技術の二重開発に加え、極端なケースではヨーロッパの自動運転車がアメリカを走れないといった事態も考えられますね。
細かい話はさておき、そうした不合理をなくそうと主要国の大臣が政策の方向性を一致させる。それが今回の交通相会合なのです。
大臣宣言では、ドライバーの負担軽減など交通問題解決につながる自動運転の早期実用化に向け、G7が必要なリーダーシップを発揮することを確認。
自動車と道路の間で情報交換する自動運転は、サイバーテロ(情報テロ)の標的にされる可能性も否定できず、安全性を確保をすることでも合意しました。
続きは来年、イタリアの会合で話し合うそうです。
民間ブースに並んだ未来の乗り物
開催場所は軽井沢プリンスホテルで、入り口の民間ブースにはトヨタやホンダ、富士通などが出展していました。
ここを取材した記者はぼぼゼロだったのですが、私はいくつかの出展者に話を聞いてみました。
自動車の話なので、読者の皆さんの方が詳しいかもしれません。不十分な点、不正確な点はなにとぞご容赦を。
まず目に止まったのは、ユニークなクルマづくりで有名な富山県の光岡自動車が展示した「Like-T3」という超小型電気自動車(EV)です。

前1輪、後2輪の3輪車で、全長2.5m。家庭用100Vでフル充電すれば最長60㎞走れるそうです。
クルマとしての規格は「側車付二輪車」。余談ながら私は「ソクシャ」と聞いて何か分からず、「まさか速射砲が付いているわけないし」と間抜けなことを思ったのですが、よくよく考えたら側車は昔、時々見掛けたオートバイのサイドカーのこと。
横幅(1.1m)を稼ぐ目的で、車種は自動二輪でもこのクルマは普通免許で運転できるそうです。
地元長野県の諏訪東京理科大学が実用化を目指すのは、タイヤならぬボールで走る超小型モビリティー「オムニライド」です。
バランスボールにイスとハンドルを取り付けた独特なスタイルで、タイヤがボールなのでカニのように真横にも進めます。
2026年8月追記 国交省が主管する国際会議では、2010年9月に奈良市で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)観光大臣会合も取材しました。当時は現在と同じく日本と中国が対立状態にあり、観光の国際会議には似つかわしくない〝対立の論議〟が交わされたのを思い出します。

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